すっかり冬らしくなってきた紙の館周辺は、心底寒い朝を迎えました。12月14日の土曜日、この日は保存会メンバーの畑で育てたコウゾを刈り取り、和紙の原料となる「黒皮」を剥ぎ取る作業を行いました。刈り取ったコウゾは、日にちが経てば皮が剥けにくくなるため、早いうちに蒸し剥ぎしなければいけないのです。


コウゾは山林のあちこちに自生している木ですが、紙漉きに使うには春に芽を出した1年目の木。たった数か月で3m以上も伸びます。これを刈り取り、蒸しやすいように切り揃え、水槽の中に入れておきます。


コウゾやミツマタは、紙の館の裏庭に設置している大釜で4時間ほど蒸します。蒸すことで皮が縮んでむきやすくなるのです。


皮は、バナナのようなむき方をしてはいけません。1枚の皮になるよう、むき方には少しコツが要ります。むき方で、この後の作業効率が格段に違うので、みな真剣です。でも、1回伝授すれば、コウゾなら小学生でもきれいにむけるようになります。ただ、ミツマタだけは皮をむく人と、木を持つ人、ペアにならないとむけません。



むいた直後は木肌が白く美しい
むいた後の木は、紙漉きには使いません。ミツマタは花材になりますが、コウゾは今のところ使いどころがありません。硬くて丈夫なので、杖くらいにはなりそうですが。



この黒皮たちが紙になるにはまだまだ。手漉き和紙はこうした地道な作業が目白押しなのです。